日本海水学会誌
Online ISSN : 2185-9213
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76 巻, 3 号
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2022年度日本海水学会第73年会を終えて
巻頭言
特集「日本における膜分離を利用したブルーエナジー研究開発の紹介」
解説
報文
  • 平田 信介, 中尾 崇人, 安川 政宏, Jhony QUINTAL, Mathilde FLEMMING BINDSEIL, Haofei ...
    2022 年76 巻3 号 p. 170-176
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/16
    ジャーナル フリー

    浸透圧(Pressure-retarded Osmosis:PRO)発電は天候に左右されない,再生可能エネルギーを利用した安定した発電方法として注目を集めている.この発電方法は,半透膜を介した2 種類の溶液の濃度差を利用し,自発的な水の移動によりタービンを回して水力発電を行う手法であり,浸透圧エネルギーを水量エネルギーに変換する半透膜が搭載された膜モジュールが主要部となる.東洋紡は,長年にわたり培われた膜分離技術を応用展開し,三酢酸セルロースからなる中空糸膜型PRO 膜モジュールの開発,製品化を行った.この膜モジュールは,PRO 発電プラントの商業化を目指すデンマークのSaltPower 社に採用されている.SaltPower 社はPRO 発電に用いる高濃度溶液として,10 w%以上の濃度をターゲットとしており,地域暖房に用いられている高塩濃度地熱水を利用した実証試験や,製塩工場から得られる高濃度塩水を用いた実証試験を行ってきた.製塩工場から得られる高濃度塩水を用いた実証試験においては,東洋紡のPRO 膜モジュールを利用して,約7,000 W のグロス発電出力を約700 時間安定して得ることができた.これらの検討を元に,SaltPower 社は2022 年中に第1 号の商業プラントの立上げを目指してプラント建設を進めており,これは世界初の商業用PRO 発電プラントとなる見込みである.

  • 眞壁 良, 上山 哲郎, 坂井 秀之, 谷岡 明彦
    2022 年76 巻3 号 p. 177-182
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/16
    ジャーナル フリー

    浸透圧発電(PRO)は,塩分濃度差によって得られる浸透水を使用する再生可能エネルギーである.メガトンスケールの海水淡水化施設に濃縮海水と下水処理水を使用したPRO 設備を導入した場合,造水の消費電力を10 %削減する能力がある.機器の汎用化によって,発電コストは10.6 円/kWh と試算した.また海水と下水処理水を利用したPRO システムの実現が重要であり,このためには新たなPRO 膜モジュールの開発が必要となる.開発するPRO 膜モジュールのA 値・B 値は,2.05×10-6 m/s/MPa・5.5×10-9 m/s の性能が求められ,このPRO 膜モジュールを使用した発電コストは,22 円/kWh と試算した.優れたPRO 膜モジュールを開発することで,世界のエネルギー供給に大きな影響を与えると期待している.

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