日本海水学会誌
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イオン交換膜電気透析法における炭酸カルシウムの析出条件と結晶形
イオン交換膜海水濃縮法におけるスケールに関する研究 (第11報)
武本 長昭
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1973 年 27 巻 2 号 p. 90-95

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抄録
炭酸イオンを電気透析によって濃縮室に導入し, 濃縮室液中のカルシウムイオンと反応させることにより炭酸カルシウムを析出させるさいの, 析出条件と結晶形との関係を検討した. 析出速度は0.6~10g/l・hr程度と大きくした. 析出結晶のX線回折による分析には, 内部標準としてAl (OH) 3をもちいた, 得られた結果は次のとおりである.
1) Al (OH) 3を内部標準にもちいたカルサイト, アラゴナイトおよびバテライトの定量分析は, 良好な結果が得られた.
2) 濃縮海水等マグネシウムを含有する溶液中でも, 4~10g/l・hr程度の析出速度ではカルサイトが生成し, その生成比は温度が高く, 析出速度が大であり, またマグネシウムイオンの共存量が少ないほど大きい.
3) マグネシウムイオンが共存しない溶液中では, カルサイトとバテライトが生成し, 析出速度が大きくなるとバテライトの生成比が大になる. マグネシウムイオンは, バテライトの生成を抑制するように思われる.
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