日本海水学会誌
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イオン交換膜電気透析における温度の効果
田中 良修金井 憲子
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1980 年 34 巻 1 号 p. 31-36

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抄録
イオン交換膜電気透析装置による海水濃縮結果を用いて, 輸率, 溶質拡散係数, 電気浸透係数および濃度差浸透係数などの膜特性値を求めた. これらの膜特性値はいずれも温度とともに増加したが, 濃度差浸透係数および溶質拡散係数の増加率は輸率および電気浸透係数の増加率にくらべて大であった. 温度および膜特性値が濃縮成績におよぼす効果を検討し, 次の結果を得た.
(1) イオンの移動はほとんど電気泳動によるものである. 溶質拡散の寄与は通常小さいが, 高温になるとわずかに増加する,
(2) イオンの移動が温度とともにわずかに増加するのは, 電気泳動の増加割合が溶質拡散の増加割合をわずかに上まわるためである.
(3) 液の移動が温度とともに増大するのは主として濃度差浸透係数とともに濃度差浸透が増加することによる,
(4) 低温では液移動に対する電気浸透の寄与が大となり, 高温では濃度差浸透の寄与が大となる.
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