日本海水学会誌
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アミドキシム樹脂吸着とトリオクチルホスフィンオキシド抽出を併用した海水中のウラン (VI) の定量
小嶋 健博重富 康正
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1989 年 42 巻 6 号 p. 289-292

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抄録
アミドキシム樹脂を用いて海水中のウラン (VI) を前濃縮後, TOPO抽出比色法で定量する方法について検討した結果を要約すると,
1) 海水5lにアミドキシム樹脂 (ダイヤイオンCR-50) 2.0gを加えバッチ法にて4日間かくはんするとウラン (VI) は定量的に吸着する.
2) 海水と分離濾別した樹脂を100cm3三角フラスコに移し, 脱着剤として0.50moldm-3硫酸溶液20cm3を加えて恒温槽中で5時間振り混ぜれば定量的に樹脂からウラン (VI) を脱着できる.
3) この脱着液10cm3を100cm3分液漏斗に移し, TOPO-シクロヘキサン抽出後, 有機相を2moldm-3硝酸溶液で洗浄して, 10cm3メスフラスコに移し, 5-Br-PADAPとTEAを加えて発色30分後575nmの波長で吸米度を測定する.検量線は0~5μgcm-3の範囲で良好な直線性を示し, ウラン (VI) 10μgに対し1mgのスカンジウム (III), バナジウム (V), コバルト (II), 鉄 (III), ニッケル (II) およびジルコニウム (IV) が妨害したが, 2moldm-3硝酸溶液で2回洗浄すればその妨害は除去できる.ジルコニウム (IV) は抽出時に5%CyDTA溶液と2%フッ化ナトリウム溶液を併用すれば除去できた.
4) 本法で海水中のウラン (VI) を定量した結果2.81ppbであった.
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