日本海水学会誌
Online ISSN : 2185-9213
Print ISSN : 0369-4550
ISSN-L : 0369-4550
分離・濃縮と蛍光検出をインライン結合したフローインジェクション分析法による食塩中の極微量ホウ素の迅速・簡便な定量
山根 兵平川 美恵
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 59 巻 2 号 p. 153-157

詳細
抄録
食塩中のppbからサブppmレベルのホウ素を迅速簡便に定量するため, 分離濃縮と分光蛍光検出を流れシステム内でインライン直結した分析法を開発した.
pH10に調節したサンプル溶液中のホウ素をセファデックスG-25ゲルの小カラムに吸着させ, 少量の0.10mol/l塩酸で溶離することで大過剰の塩化ナトリウムや他の共存元素からの分離濃縮が可能であった. ホウ素の検出にはクロモトロープ酸 (1, 8-dihidroxy-3, 6-naphthalenedisulphonic acid) との錯体の蛍光を測定した (励起波長303nm, 測定波長355nm). 分析感度や精度に影響する種々の因子について検討し, 最適な条件及びマニフォールドを設定した. 5mの試料ループを用いた場合, ホウ素濃度が0-15ppbの範囲で直線性の良好な検量線が得られ, 5.0ppbのホウ素溶液での相対標準偏差1.8%, 検出下限は溶液濃度としてca.0.2 ppbであった. 3mol/l塩化ナトリウム溶液を分析に供した場合, 検出下限の5倍として定義された定量下限は塩化ナトリウム中ca.6 ppbである. 本FIAシステムにより種々の塩中の数十ppbからサブppmレベルのホウ素を簡便に定量することができた. 試料溶液を注入後, 分析に必要な時間はわずか9分であり, 煩雑な人手による操作は不要である.
著者関連情報
© 日本海水学会
前の記事 次の記事
feedback
Top