日本原子力学会和文論文誌
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高速炉炉心解析における中性子非等方散乱と実効断面積の中性子束角度依存性の取扱いの臨界性への効果
千葉 豪
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2004 年 3 巻 2 号 p. 200-207

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抄録
原子炉炉心解析の分野では,炉心全体を詳細にモデル化した連続エネルギーモンテカルロ計算が利用され始めているが,解消すべき問題点は残っており,決定論的手法の負う役割は依然大きい。決定論的手法のこれまでの発展は,限られた計算機能力のもとでの数多くの近似法の開発によりなされてきた。しかし近年は,計算機能力が格段に向上したことにより,従来は近似的に取り扱っていた現象をより厳密に扱うことが可能となった。現在行われている決定論的手法の高度化はそのような流れにあり,それは高速炉炉心解析の分野においても例外ではない。
我が国では,高速炉心内の中性子の振舞いを示す中性子輸送方程式を解く場合には離散座標法(Sn法)を主に用いており,その実績を積み重ねている。Sn法において,中性子の非等方散乱は輸送近似と呼ばれる手法を用いて考慮するのが通例となっている。輸送近似は,輸送方程式において全断面積の代わりに輸送断面積を用いることによって,散乱を等方で扱いつつ非等方散乱のP1成分まで考慮することが可能となる近似法である。我が国ではこれまで,高速炉では高次の非等方散乱を取り扱う効果は小さいと考えられてきたことから,その効果の定量的な評価は行われていなかった。
近年,高速炉の炉心は時代のニーズを反映して多様化する方向である。そのような炉心の解析では,これまで考えられてきた炉心の解析により得られた知見をそのまま適用する前に,その適用性を確認することが必要である。加えて,計算機能力の向上により非等方散乱の取扱いが容易になったことから,その評価方法・システムを整備し,定量的評価を行うことは有益であると考える。
Sn法における非等方散乱の取扱い方法については,全断面積のエネルギー離散化に伴う諸問題と絡めて,1967年にBellらによって書かれた文献などに詳しく記述されている。本報では,それらの文献で示された3つの方法を用いて,1次元簡易体系および臨界実験・実機体系を模擬した2次元円筒体系の高速炉心モデルにおいて臨界性の解析を行い,非等方散乱の取扱い方法の整理と定量的評価,および考察を行う。
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