大気環境学会誌
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速報
PM2.5越境問題は終焉に向かっているのか?
鵜野 伊津志王 哲弓本 桂也板橋 秀一長田 和雄入江 仁士山本 重一早崎 将光菅田 誠治
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2017 年 52 巻 6 号 p. 177-184

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抄録

2013年から2016年にかけて日本の年平均PM2.5濃度は全国的に減少し、環境基準達成率も一般環境測定局で2014年の37.8%から2016年には約88%と大幅に改善された。この理由を、中国での排出量・濃度の減少と化学輸送モデルによるソース・リセプター解析で調べた。中国のPM2.5濃度や衛星計測SO2、NO2濃度は年率約10%で減少し、これは排出量の減少によると考えられた。ソース・リセプター解析は、中国の濃度が20%低下した場合、福岡の年平均濃度の約12%減少を示した。これは2014–2016年にかけての観測された減少量 (約10%) に相当していた。中国で、この排出減少率が継続すると1–2年のうちにPM2.5年平均基準を満たす地点が増加し、日本国内でのPM2.5高濃度越境問題は急速に改善に向かうと考えられる。

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© 2017 大気環境学会
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