2018 年 53 巻 5 号 p. 153-164
大気汚染の健康影響を把握するためには疫学研究が必要であるが、その中でも曝露評価の重要性が指摘されている。今日、欧米での慢性影響を対象とした大気汚染疫学研究では、実測よりも各種モデルを用いた曝露評価が主流となっており、その中でも土地利用情報等に基づくLand Use Regression (LUR) モデルが主に用いられている。しかし、日本では疫学研究を念頭においた検討事例は限られており、必ずしも十分にはモデルの特徴はわかっていない。本研究では、LURモデルにどのような特徴が認められるかを調べるために、横浜市を対象に窒素酸化物 (NOx)、二酸化窒素 (NO2)、浮遊粒子状物質 (SPM) のLURモデルを構築し、濃度分布図を作成した。2005年度の土地利用データおよび交通関連データ等を用いてLURモデルを構築した結果、自由度調整済み決定係数はNOx、NO2それぞれ0.88、0.81となり、さらにおおむね妥当と考えられる濃度分布図を得ることができた。SPMに対するLURモデルでの自由度調整済み決定係数は0.55であった。局地汚染の健康影響評価に用いるためには空間分解能の検討が必要となることや、LURモデル構築や評価に必要な濃度観測地点数が不足している可能性があると考えられた。