2018 年 53 巻 6 号 p. 207-218
都内の自動車排出ガス測定局におけるPM2.5の基準達成率は、2015年は年平均で40%であったが2016年は86%に改善した。硫酸アンモニウムはPM2.5の主な成分の1つであるが、現行のイオン成分測定法では、硫酸アンモニウムを直接定量することは難しい。そこで本研究では、PM2.5中の硫酸アンモニウム分別定量法を確立することを目的とした。方法は、PM2.5中に存在すると考えられる4種のアンモニウム塩、すなわち、硫酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、硝酸アンモニウム及び塩化アンモニウムを石英繊維フィルターに固着させたものを試料として、加熱処理による分別定量法を検討した。その結果、110℃、30分間の加熱処理により、硝酸アンモニウム及び塩化アンモニウムはフィルターから消失した。さらに、150℃、30分間の加熱では、硫酸アンモニウムがNH4の半量を失うことが判明した。以上より、PM2.5を110℃及び150℃で30分間加熱した場合、150℃の加熱によって110℃の加熱時よりも減少したNH4は硫酸アンモニウム由来であり、この濃度を測定することにより、硫酸アンモニウム濃度を把握することが可能と考えられた。開発した方法を用いて、2018年1月及び2月に都内の大気を1週間採取し、PM2.5中の硫酸アンモニウムを測定したところ、1月は1.8 μg/m3、2月は2.5 μg/m3であり、硫酸水素アンモニウムは検出されなかった。