抄録
ヘキサシアノ鉄 (III) 酸塩, Fe (CN) 63-, を触媒とするルミノールの過酸化水素による酸化反応に伴う化学発光に対する微量金属イオソ (Mn2+およびFe3+) の妨害効果をCu2牽を触媒とする場合と比較検討した。Fe (CN) 63-系では化学発光強度はCu2+ 系よりも20倍以下となった。しかしながら, Fe (CN) 63-系での金属イオンによる発光強度の減少は金属イオン濃度が10-7mole.l-1から10-6mole.l-1の範囲では金属イオンが無い場合の強度の10%を越えないことおよび10-5mole.l-1以上の濃度範囲でもFe (CN) 63-系での発光強度の減少はCu2+系よりもかなり小さいことがわかった。比較的金属イオソ濃度が高い雲雨水中の過酸化水素定量にはFe (CN) 63-系が適していると思われた。