日本トキシコロジー学会学術年会
第37回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P44
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一般演題 ポスター
ゲノミクスおよびメタボノミクス手法を用いたラットにおける骨格筋障害バイオマー カーの探索
*大林 久佐邦山内 秀介齊藤 航白井 真人新野 訓代本多 久美清澤 直樹谷 吉朗矢本 敬三分一所 厚司
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抄録
【目的】骨格筋障害モデルラットを作製し,骨格筋のトランスクリプトーム(TGx)解析および尿・血漿のメタボローム(TMx)解析を行い, 新規骨格筋障害評価バイオマーカーを見出すことを目的とした。
【方法】9週齢の雄性F344ラットに2,3,5,6-Tetramethyl-1,4-phenyleneamine(TMPD, 3mg/kgおよび9mg/kg)を単回経口投与し,血 中creatine kinase(CK)測定および病理組織学的検査を実施した。TGx解析にはAffymetrix社のGeneChip Rat 230 2.0アレイを用い, MTx解析にはWaters社のAcquity UPLC / LCT PremierTOF-MSシステムを用いた。
【結果と考察】TMPD 9mg/kg投与群で血中CK-MM(骨格筋由来のCKアイソザイム)レベルが高値を示し,病理組織学的検査によっても 骨格筋障害誘発が確認された。TMPD 3mg/kg投与群では骨格筋障害誘発は確認されなかった。TGx解析の結果,TMPD 9mg/kg投与 群で1,860遺伝子が発現レベル増加,1,268遺伝子が発現レベル減少を示した。Ankrd1,Serpine1,Mt1a,Ccl2遺伝子は用量依存 的な発現レベル増加を示し,9mg/kg投与群で対照群の20倍以上の発現レベル増加を示した。一方MTx解析の結果,TMPD 9mg/kg投 与群で尿では600個以上の,血漿では360個以上の代謝物濃度に変動が認められた。これら骨格筋障害応答性遺伝子および代謝物は新 規な骨格筋障害評価用バイオマーカーとなり得る可能性が期待されるものの,その妥当性についてはCerivastatinを用いた骨格筋障害 モデルのデータと共に検証・考察する予定である。
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© 2010 日本毒性学会
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