胆道
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総説
黄疸の成因と病態
足立 幸彦諸岡 留美
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2009 年 23 巻 2 号 p. 174-180

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抄録
黄疸はビリルビンの生成から肝細胞でのグルクロン酸抱合を経て腸管内への排泄までのいずれかの代謝·輸送段階の破綻によって発症する.近年肝細胞の抱合酵素UGT1A1,毛細胆管膜のATP依存性輸送蛋白MRP2,類洞側膜局在のMRP3等の核内レセプターによる発現調節についての解明が進んでいる.Gilbert症候群を起こすUGT1A1遺伝子多型(UGT1A1*6)と薬物や発癌物質の代謝にかかわるUGT1Aアイソザイムの遺伝子多型(UGT1A6*2UGT1A7*3)とのリンクが認められ,また有機アニオン系薬物を輸送するMRP2活性がDubin-Johnson症候群で欠如,肝細胞内輸送蛋白GSTαがRotor症候群で欠如していることから,各種体質性黄疸において薬物代謝遅延が生じ得る.これらの代謝酵素,輸送蛋白は黄疸を伴う後天性の肝胆道疾患でも低下が報告されており,薬物代謝の面からも大きな問題となるので注意が必要である.
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© 2009 日本胆道学会
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