抄録
要旨:症例は74歳男性.閉塞性黄疸を主訴に来院.アレルギーに関しては特記すべき既往歴なし.各種検査で切除不能膵癌と診断し,膵頭部癌による下部胆管閉塞に対し自己拡張型メタリックステント(EMS)を挿入した.施行8日後に食欲不振を訴え,発熱・貧血が認められた.EMS端による十二指腸粘膜障害を疑い,上部消化管内視鏡検査を施行したところ,EMS周囲の十二指腸粘膜の発赤,浮腫,潰瘍を認めた.CTでもEMS周囲の浮腫性変化を認めたため,EMS含有金属成分に対するアレルギーを疑い,EMSを抜去しステロイド剤を投与した.十二指腸生検では好酸球浸潤がみられ,後日施行した皮膚パッチテストではコバルトに対する弱陽性反応を認めた.以上よりEMSの1成分であるコバルトに対するアレルギー反応が考えられた.胆管ステント挿入後の金属アレルギーは極めて稀であるが,起こりえる偶発症として認識する必要がある.