抄録
要旨:黄色肉芽腫性胆嚢炎(Xanthogranulomatous cholecystitis:以下XGC)は十二指腸,結腸や肝などの周囲臓器へ浸潤性に炎症が波及することで,胆嚢癌との鑑別が時に困難になる.症例は,69歳男性で,体重減少に対して近医を受診し,画像診断により胆嚢壁の肥厚を認め当科紹介となった.腹部超音波,腹部CT,腹部MRIでは十二指腸に連続する胆嚢腫瘤を認めた.また,胆嚢頚部には胆嚢結石が嵌頓していた.胆嚢癌の診断で,開腹手術を行い,胆嚢を全層切除で摘出し術中迅速病理診断へ提出したところ,悪性所見は認めなかった.最終診断は黄色肉芽腫性胆嚢炎であった.特に合併症なく,術後12日目に退院となった.胆嚢癌との鑑別診断が困難であったXGCの報告例を検討すると,本症例と同様に,胆石が胆嚢頸部に嵌頓していた例を多く認めた.術前に胆嚢癌との鑑別が困難であったXGCの1例を報告し,胆嚢癌とXGCの術前鑑別診断について若干の文献的考察を加える.