要旨:症例は54歳男性,2002年7月他院で食道癌に対し食道亜全摘術(後縦隔再建)を施行した.2007年8月FDG-PETで下咽頭癌,胆管癌を指摘され当科紹介となった.CTで肝左葉を中心に境界不明瞭な腫瘤影を認め,肝門部浸潤を伴う肝内胆管癌(広義の肝門部胆管癌)と診断した.2007年11月下咽頭癌に対し70Gyの放射線照射とdocetaxel 16mg/weeklyを投与し,同時に胆管癌に対し45Gyの照射を施行した.下咽頭癌は画像上消失したため,2008年2月肝左葉尾状葉切除,肝外胆管切除および門脈楔状切除術を施行した.腫瘍は胃管に広範に浸潤していたが,右胃大網動脈を温存する幽門側胃切除術を追加し,治癒切除を施行し得た.術後は合併症なく第19病日に退院した.浸潤傾向が強く,また重複癌であったが,集学的治療により,根治的治療が可能であった症例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.
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