2011 年 25 巻 2 号 p. 220-227
要旨:光線力学的療法(PDT)はポルフィリン関連化合物を用いた特殊なレーザ治療である.フォトフリンを用いたPDTでは体内への薬剤停滞により遮光期間が長い点や晩期皮膚炎の問題があったが,より薬物代謝が早い新規光感受性薬剤Npe6(レザフィリン)を用いたPDTを3例の胆管癌に施行した.2例は高度進行癌の非切除症例で,1例は外科的切除後の胆管断端癌遺残症例であった.非切除症例では内視鏡下経乳頭経路で胆管内病変に対し,切除症例では空腸瘻経路で胆管空腸吻合部にレーザ照射を行った.術後一過性に肝機能障害を認めたが速やかに軽快し,重篤な合併症は認めなかった.投与後遮光期間は2週間で,1例に軽度の日焼け様皮膚炎を認めた.今回の検討ではレザフィリン-PDTの安全性は確認できたが,症例を増やして皮膚炎や他の副作用の検討することに加え,腫瘍に対する局所効果も注意深くフォローする必要があるものと考える.