胆道
Online ISSN : 1883-6879
Print ISSN : 0914-0077
ISSN-L : 0914-0077
症例報告
膵胆管合流異常に合併した真の胆嚢癌肉腫の1例
岡庭 信司玉井 方貴中村 喜行堀米 直人伊藤 信夫
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 27 巻 4 号 p. 732-738

詳細
抄録

症例は50歳代女性.心窩部痛にて近医を受診し,胆嚢炎として当科に紹介となった.入院時の採血では軽度の肝機能障害と炎症所見を認めた.USでは胆嚢内に不整な内部エコーを有する腫瘤像を認め,ドプラにて腫瘤内部に定常流の血流シグナルを認めた.EUSにて膵胆管合流異常と胆管周囲のリンパ節腫大を認めた.CTでは胆嚢底部に不規則な造影効果を伴う腫瘍を認め,1カ月後のMRIにて腫瘍の急速な増大と胆嚢周囲に淡い高信号域が出現したことから肝内直接浸潤を疑った.膵胆管合流異常に合併した胆嚢腫瘍として肝床(S5+S4下)切除+膵頭十二指腸切除術を施行した.腫瘍は表面平滑な有茎性の形態を呈し,背景粘膜には上皮の化生を認めなかった.腫瘍の大半は紡錘形の細胞からなる肉腫であり,一部に腺癌成分を認めた.肉腫成分は間葉系マーカー陽性,上皮系マーカー陰性であったことから真の癌肉腫と診断した.患者は急速に出現・増大した肝転移により術後4カ月で死亡した.

著者関連情報
© 2013 日本胆道学会
前の記事 次の記事
feedback
Top