抄録
結腸直腸癌肝転移は肉眼的胆管内進展を伴うことがあり,そのような症例は切除後の予後が良好であることが知られている.組織学的に,胆管内進展には腫瘍栓様の管腔内発育と胆管上皮内進展の2つの要素があるが,粘液栓をきたすことは稀である.今回我々は,S状結腸粘液癌術後に胆管上皮内進展に加えて粘液栓を伴なった肝転移の1例を経験したので報告する.症例は45歳の女性.2006年S状結腸粘液癌に対して切除手術を施行した.病理組織学的にリンパ節転移を伴う粘液癌と診断した.2011年,腹部造影CT検査にて肝後上区域(S7)に21×14 mmの腫瘍とこれに接する右後上区域胆管枝(B7)の拡張を認めた.胆管内進展を伴うS状結腸癌肝転移と診断し肝後区域切除術を施行した.切除標本において肝S7に充実性腫瘍を認め,この腫瘍に接するB7胆管内には粘液が充満していた.病理組織学的に胆管上皮内進展と粘液栓を伴う肝転移と診断した.