胆道
Online ISSN : 1883-6879
Print ISSN : 0914-0077
ISSN-L : 0914-0077
症例報告
硬化性胆管炎を合併した自己免疫性膵炎との鑑別を要したBリンパ芽球性白血病/リンパ腫の1例
川口 真矢山本 玲山村 光弘大山田 純矢花 正
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 28 巻 5 号 p. 800-807

詳細
抄録

症例は70歳代女性.心窩部痛を主訴に来院,黄疸を伴う肝胆道系酵素の上昇,炎症反応を認めた.腹部CT上,膵はびまん性に腫大,胆管・胆嚢壁は肥厚し,腹腔動脈から上腸間膜動脈周囲に炎症の波及を認めた.ERCP上,膵管は全体に狭細像を呈し,膵内胆管は狭窄し,管腔内超音波検査(IDUS)にて上部胆管まで全周性の壁肥厚を認めた.膵液・胆汁細胞診はともに陰性.膵に対する超音波内視鏡下穿刺吸引生検(EUS-FNA)ではリンパ球浸潤と炎症細胞浸潤を認めた.IgG4,抗核抗体は陰性のため自己免疫性膵炎(AIP)の診断基準は満たさないが,画像上硬化性胆管炎を合併したAIPと診断しステロイド治療を開始した.2カ月後の腹部CTおよびERCPでは画像上の改善を認めたが,初診から半年後に再増悪を認めた.初診時のEUS-FNA検体の免疫組織染色にてCD34, CD79a陽性,骨髄中のリンパ芽球浸潤が63%でBリンパ芽球性白血病と診断し化学療法を施行,2年経過した現在,完全寛解が得られている.

著者関連情報
© 2014 日本胆道学会
前の記事 次の記事
feedback
Top