抄録
胆嚢管原発神経内分泌癌の報告は自験例を含め5例目と非常にまれである.症例は76歳の男性で,閉塞性黄疸を契機に胆管腫瘍を指摘された.中下部胆管癌の術前診断で,膵頭十二指腸切除術を施行した.切除標本の肉眼所見では,腫瘍は胆嚢管に基部を有し,先端が中部胆管内に突出するポリープ状の形態であった.HE染色で,腫瘍はN/C比の高い小型細胞からなり,充実性増殖を示していた.免疫染色で,腫瘍細胞は,クロモグラニンA,シナプトフィジンともに陽性,Ki 67陽性率は60%で,胆嚢管原発神経内分泌癌と診断した.また,腫瘍と連続する高度な異型上皮を胆嚢管に認めた.補助化学療法は施行せず,術後24カ月の現在再発は認めていない.本例は,腫瘍の局在診断が術前に困難で,また病理所見で異型上皮を伴う胆道神経内分泌癌であった.今後,病態の解明と適切な治療方針に関して,さらなる症例集積の望まれる疾患と考えた.