胆道
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症例報告
中心壊死を伴った肝原発腺扁平上皮癌の1例
上田 順彦大西 敏雄甲斐田 大資藤田 秀人木南 伸一小坂 健夫木下 英理子黒瀬 望
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2015 年 29 巻 5 号 p. 905-912

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抄録

極めて稀な肝原発腺扁平上皮癌の1例を報告した.症例は79歳,男性.腹部CT検査では肝内側区域から前区域腹側に6.5cm大で境界は比較的明瞭な腫瘍を認めた.造影では腫瘍の辺縁は強く濃染され,腫瘍内部も不均一に淡く造影された.腹部MRI検査では腫瘍内部は一部壊死し液状変性が疑われた.肝内胆管癌の診断で門脈合併切除を伴う拡大肝左葉切除術を施行した.腫瘍と周囲との境界は比較的明瞭であった.腫瘍内部は灰白色充実性であるが,もろく一部は脱落していた.病理学的には腺扁平上皮癌と診断された.術後3年3カ月で他病死した.本腫瘍は急速に増大し,中心壊死をおこすため,画像的に腫瘍辺縁部の濃染所見と内部の変性壊死は本腫瘍を示唆する重要な所見と考えられた.

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© 2015 日本胆道学会
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