胆道
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症例報告
脳転移から診断された胆嚢癌の1例
宮島 真治
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キーワード: 胆嚢癌, 脳転移, 初発症状, 痙攣
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2015 年 29 巻 5 号 p. 948-953

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抄録

症例は62歳女性.左上下肢痙攣を主訴に救急外来を受診された.頭部CTで右大脳深部白質に3cm大の腫瘍あり.同月開頭腫瘍摘出術施行,腺癌の転移と診断された.CT,超音波検査,MRIで胆嚢壁の全周性の不整な肥厚,FDG-PETでは胆嚢に強い集積を認め,胆嚢癌が強く疑われた.他に原発巣は指摘できず,翌月経皮経肝的に胆嚢からの胆汁細胞診施行,Papanicolaou染色class4,腺癌と考えられる細胞を検出した.胆嚢癌脳転移の診断にて全身状態を考慮しS1単独による癌化学療法を開始した.診断2カ月後胆嚢癌肝浸潤を認め,その3カ月後に脳腫瘍局所再発を確認,同部に放射線照射施行.その後小脳,脳幹の転移が確認された.全身衰弱が進行しセカンドラインの化学療法は断念した.診断14カ月後に永眠された.脳転移から診断された胆嚢癌の報告は非常に稀で貴重な症例と考えられたため,文献的考察を含め報告する.

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© 2015 日本胆道学会
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