2016 年 30 巻 4 号 p. 775-781
症例は81歳女性.食欲不振にて前医を受診し,腹部超音波検査にて膵腫瘤を指摘され当院紹介となり,精査加療目的に入院となった.血液検査にて肝胆道系酵素の上昇を認め,EUS/CTにて膵頭部に造影効果を伴う内部充実性成分を伴う嚢胞性腫瘍を認めた.ERCPでは,乳頭開口部の著明な開大と粘液の流出が見られ,膵管・胆管内にも多量の粘液透亮像を認めた.膵病変は造影される充実性成分の存在から膵管内乳頭粘液性腺癌(Intraductal mucinous papillary carcinoma:IPMC)を疑い,胆管内の透亮像は膵管内から粘液が逆流したものと判断した.膵頭十二指腸切除術を施行したところ,病理学的には,膵病変は間質への微小浸潤に留まるIPMCであった.また,切除範囲の胆管内には術前検査で指摘困難であった上皮内癌を認めた.本症例はIPMCに胆管上皮内癌が併存したまれな症例であり,また胆管癌の成因を考慮するうえで貴重な症例であると考え報告する.