胆道
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原著
術後再建腸管例におけるダブルバルーン小腸内視鏡を用いた胆管処置:経乳頭処置例と経胆管消化管吻合処置例の偶発症に関する比較検討
高橋 幸治露口 利夫杉山 晴俊熊谷 純一郎中村 昌人
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2017 年 31 巻 4 号 p. 683-690

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抄録

【目的】術後再建腸管例におけるダブルバルーン小腸内視鏡を用いた胆道処置について,経乳頭処置例と経胆管消化管吻合処置例の偶発症の種類および頻度を比較検討する.【方法】2012年1月から2015年12月までの4年間にダブルバルーン小腸内視鏡を用いて胆道処置を試みたRoux-en-Y再建例および胆管消化管吻合術後例を後方視的に調査した.【結果】対象70例中,目的部位未到達あるいは胆管処置不成功の15例に偶発症は認めなかった.胆道処置に成功した55例の検討では,経乳頭群34例,経胆管消化管吻合群21例であり,偶発症発症率はそれぞれ20.6%,19.0%であり,内訳は膵炎11.8%/4.8%,胆管炎8.8%/14.3%であった.胆管炎は胆管狭窄や吻合部狭窄に対する治療例ではみられなかった.【結論】経乳頭群と経胆管消化管吻合群で偶発症発症率に有意差はみられなかった.膵炎は経乳頭例だけでなく経胆管消化管吻合例でも起こり得ること,経胆管消化管吻合例では狭窄がなくとも胆管炎が発症することに留意する必要がある.

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© 2017 日本胆道学会
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