2017 年 31 巻 4 号 p. 691-696
胆道癌に対して長期生存が期待できる最も有効な治療法は外科切除であるが,切除不能の進行癌の状態で診断される症例も少なくない.そのような切除不能進行胆道癌に対しては,近年の化学療法剤の進歩により化学療法や化学放射線療法が広く適応とされるようになった.その結果切除可能となりconversion surgeryとして外科切除をしえたとする報告が散見されるようになった.特に,肝内胆管癌,胆嚢癌ではconversion surgery後の明らかな予後延長効果が示されており,今後の重要な治療戦略の一つとなりうると考えられる.一方,切除不能の定義,conversionのタイミング,分子標的薬を含む最適な化学療法剤およびレジメンの開発,個々の症例における感受性の評価など解決されねばならない課題も多く認められる.