2018 年 32 巻 1 号 p. 139-146
症例は52歳女性.2009年3月肝機能障害を指摘されたが当院精査で異常なしと診断された.2010年4月に右季肋部痛を主訴に来院.炎症反応は上昇し,CTでは胆嚢腫大と胆嚢壁の浮腫状変化を認め急性胆嚢炎と診断し経皮経肝胆嚢ドレナージ施行した.胆嚢管は右前下区域枝に合流しそれより下流側胆管は造影されず途絶していた.MRCPで右前下区域枝は総胆管に独立低位合流する異所性胆管であることが判明した.胆嚢炎改善後,胆嚢摘出術・肝外胆管切除・胆管空腸吻合術を施行した.肉眼所見では胆嚢管は右前下区域枝に合流し総胆管への合流部は瘤状に拡張し閉鎖していた.病理組織では悪性所見なく炎症性肉芽内にスリット状に異所性胆管末端部が残存し盲端となっていた.本症例のような右前下区域枝が独立低位合流する異所性胆管の報告は少ない.胆管系は破格の多い脈管系であり,胆管合流形式や胆嚢管走向異常を術前に把握し治療を行うことが重要であると考えられた.