2018 年 32 巻 1 号 p. 62-71
良性胆道狭窄の原因疾患には,慢性膵炎や術後胆道狭窄,Mirizzi症候群,IgG4関連硬化性胆管炎,原発性硬化性胆管炎などが挙げられる.治療法は原疾患により異なり,内視鏡治療や,ステロイドなどの薬物療法,外科的治療が行われている.内視鏡治療ではバルーンカテーテルもしくは拡張用カテーテルで狭窄部を拡張後にstentを留置するのが一般的である.狭窄の拡張を目的として6-12カ月間の10Fr plastic stent複数本留置が第一選択とされていたが,近年の研究によりfully covered metal stent留置も有効性が同程度で,ERCP施行回数が少なくなることが報告されている.胃切除や胆道再建症例に対しては,バルーン小腸内視鏡やinterventional EUSを用いた治療も行われている.内視鏡治療困難例や無効例などでは外科治療を考慮する.