症例は腹痛を主訴とする36歳の女性.先天性胆道拡張症の治療目的に当科に入院となった.血液検査成績には異常なく,腹部CTとMRCPでは胆管拡張を認めた.胆道結石を伴う先天性胆道拡張症(戸谷IVA型)の診断で手術を予定したが,術前の画像診断では胆道走行異常は指摘できなかった.手術時には胆嚢動脈が胆管の前面を走行する破格と肝門部には拡張胆管の両側につながる細い索状物を2本認め,術中胆道造影により後区域胆管枝と尾状葉胆管枝と診断した.嚢腫状胆管を膵管合流部まで切除し,細い2本の胆管を1穴に形成後に総肝管とは別の箇所に胆管空腸吻合術を施行した.術後18日目に退院となり,術後1年10カ月経過した現在愁訴なく経過している.尾状葉胆管枝と後区域胆管枝の走行異常を合併した先天性胆道拡張症例はこれまでに報告がなく,本例は手術操作の警鐘的な事例と考え報告した.