早期胆嚢癌は,リンパ節転移を殆ど認めず腹腔鏡下胆嚢摘出術(LC)の適応となりうる.このため,厳密な深達度診断を含めて胆嚢腫瘤の良悪性診断が重要である.症例は無症状の64歳男性であり,定期検診で胆嚢腫瘤の増大を指摘されて受診した.CEA・CA19-9は正常であり,USで胆嚢底部に径3cmの高エコー腫瘤を認め,小嚢胞とコメット様エコーを伴い,内部が不均一であった.外側高エコー層の吊り上げ肥厚を認め,病巣深部低エコーはみられなかった.腫瘤は単純CTで描出され,MRIの拡散強調像で拡散低下を示し,EUSで膵・胆管合流異常を認めた.総合的に早期胆嚢癌が考えやすくLCを行った.切除標本で胆嚢底部に32×29mmの乳頭型隆起を認め,病理組織学的にtubular adenocarcinoma(tub1-tub2)with adenoma component,深達度MPであった.US像に合致し病巣直下の漿膜下層脂肪織が吊り上げ肥厚を示した.外側高エコー層の吊り上げ肥厚はMP癌でも認めうる所見である.