2018 年 32 巻 5 号 p. 884-890
70代男性.腹痛を主訴に受診し,急性膵炎の診断にて入院となった.その際の腹部造影CTにて,胆嚢から肝床部にかけて腫瘤性病変を偶発的に認め,同時に肝十二指腸間膜内から傍大動脈にかけて多発するリンパ節腫大も認めた.膵炎の治癒後に,胆嚢病変ならびに肝十二指腸間膜内リンパ節に対して超音波内視鏡下穿刺吸引法による組織検査を施行したところ,いずれも印環細胞癌を大部分に認め,胆嚢印環細胞癌と診断した.切除不能と判断し,gemcitabine+cisplatin併用療法ならびにS-1単独療法を施行したがいずれも奏効せず,初診より8カ月で永眠された.胆嚢印環細胞癌の本邦報告例は少なく,その多くが切除例であるが,本例では超音波内視鏡下穿刺吸引法が診断に有用であった.また,化学療法についての報告も限られているため,臨床上重要と考え報告する.