2020 年 34 巻 4 号 p. 772-780
症例は29歳男性.心窩部痛を主訴に近医受診し,血液生化学検査で肝胆道系酵素値の上昇と黄疸を認めた.造影CTで肝内胆管の拡張と肝門部胆管に腫瘍性病変を認めるとともに,MRCPで膵・胆管合流異常を認めた.腫瘍より乳頭側の胆管に拡張を認めず,非拡張型膵・胆管合流異常に合併した肝門部胆管癌(BismuthII)と診断し,肝拡大左葉切除・尾状葉切除・肝外胆管切除術を施行した.切除標本で肝門部に結節浸潤型の病変を認め,病理組織学的検討より浸潤癌部に連続する乳頭側の胆管上皮にbiliary intraepithelial neoplasia(BilIN)病変を認めた.非拡張型の膵・胆管合流異常では,胆嚢癌が高率に発症するとされるが,胆管癌の発症は多くない.本症例は30歳未満と若年発症した胆管癌症例であるが,職業性胆管癌の可能性は示唆されず,その発癌に膵・胆管合流異常が深く関与していたと考えられる.