2021 年 35 巻 2 号 p. 143-150
胆道癌に対するEUSと腔内超音波検査(IDUS)の主たる目的は進展度診断で,腫瘍エコーと膵や十二指腸,血管などの周囲臓器との関係から癌の広がりを判定する.胆管癌や胆嚢癌では,EUSやIDUSで壁の外側高エコー層に腫瘍浸潤による不整や断裂がみられる場合にはT2以上(SS深部以深)と判断する.胆管癌では水平方向進展診断が術式決定に重要で,CTやMRI,EUS,IDUS,ERCに加え症例により経口胆道鏡下の狙撃生検による診断を追加して総合的に判断する.乳頭部腫瘍におけるEUSやIDUSは,Oddi筋への癌浸潤の判定は困難で,T1aとT1bの区別はできない.膵や十二指腸筋層の浸潤の有無,胆管膵管への進展の有無の判定は可能で,内視鏡的乳頭部切除術の適応決定に有用な情報を提供する.