2024 年 38 巻 2 号 p. 131-141
85歳以上の総胆管結石症310例のうち,全身状態不良例や難治性総胆管結石症例に対して内視鏡的胆管ステント留置術を130例に行い,ステント定期交換を行った62例と長期留置を行った68例の2群に分け,長期成績を比較検討した.定期交換群のうち14例はステント交換の経過で結石縮小化し,最終的に完全結石除去が可能となった.27例は経過観察中に他病死が確認された.2例にstent-stone complexを認めた.長期留置群のうち9例は他病死が確認でき,59例の長期経過は追跡困難であった.高齢者の長期経過では老衰や他病死が予後を規定する場合があり,有症状かつ難治性総胆管結石症例では,ECOG performance statusやCharlson comorbidity indexをふまえた治療戦略が必要となる.症例に応じた治療を完全結石除去,ステント定期交換,もしくは長期留置から選択すべきである.