胆道
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38 巻, 2 号
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原著
  • 池田 守登, 花田 敬士, 清水 晃典, 津島 健
    2024 年38 巻2 号 p. 131-141
    発行日: 2024/05/31
    公開日: 2024/05/31
    ジャーナル フリー

    85歳以上の総胆管結石症310例のうち,全身状態不良例や難治性総胆管結石症例に対して内視鏡的胆管ステント留置術を130例に行い,ステント定期交換を行った62例と長期留置を行った68例の2群に分け,長期成績を比較検討した.定期交換群のうち14例はステント交換の経過で結石縮小化し,最終的に完全結石除去が可能となった.27例は経過観察中に他病死が確認された.2例にstent-stone complexを認めた.長期留置群のうち9例は他病死が確認でき,59例の長期経過は追跡困難であった.高齢者の長期経過では老衰や他病死が予後を規定する場合があり,有症状かつ難治性総胆管結石症例では,ECOG performance statusやCharlson comorbidity indexをふまえた治療戦略が必要となる.症例に応じた治療を完全結石除去,ステント定期交換,もしくは長期留置から選択すべきである.

総説
  • 水野 修吾, 栗山 直久
    2024 年38 巻2 号 p. 142-152
    発行日: 2024/05/31
    公開日: 2024/05/31
    ジャーナル フリー

    胆道癌は外科切除が唯一の根治療法であるが,術後の再発例や診断時切除不能症例も多く,最近ではコンバージョンサージャリーも注目されており,化学療法が果たす役割は大きい.胆道癌は腫揚占拠部位,進展範囲によって,術式と手術侵襲が異なるなど,大規模な臨床試験が困難であったが,術後補助化学療法に関してはいくつかのエビデンスが蓄積されつつあり,次回改訂の「胆道癌診療ガイドライン」に術後S-1投与が,推奨度とともに記載される予定である.一方,術前治療に関しては,適応基準が統一化されておらず,コンバージョンサージャリーを含め,未だ推奨される治療には至っていない.本稿では,胆道癌に対する化学療法のこれまでの臨床試験について解説するとともに,今後の展望や問題点について解説する.

  • 石渡 裕俊, 佐藤 純也, 坂本 拡基, 土井 拓矢
    2024 年38 巻2 号 p. 153-162
    発行日: 2024/05/31
    公開日: 2024/05/31
    ジャーナル フリー

    光線力学的治療は,光感受性物質とレーザー照射による光線力学反応を利用して腫瘍を治療する方法である.胆管癌に対する光線力学的治療は,多くの研究からある程度の生命予後改善効果が示され,抗癌剤治療との併用においても安全性が示されている.さらに,ステント開存期間延長効果を示した研究もある.胆道癌ガイドラインには,本治療を施行しても良いと記載されているが,本邦において胆道癌に保険承認されている光感受性物質やレーザープローブはなく,一般臨床での施行はできない.光線過敏症が代表的な副作用であるが,第二世代のLaserphyrinが開発され肺癌,脳腫瘍,食道癌で保険承認を得ており,より少ない遮光期間で光線過敏症のリスクが減少している.本薬剤の胆道癌での保険承認を目指し医師主導治験が2023年から開始となっている.本稿では,胆管癌に対する光線力学的療法の現状と課題,その展望に関して概説する.

症例報告
  • 西尾 亮, 中野 有泰, 物江 真司, 安江 優, 山下 貴大, 岩田 仁
    2024 年38 巻2 号 p. 163-170
    発行日: 2024/05/31
    公開日: 2024/05/31
    ジャーナル フリー

    症例は74歳男性.自己免疫性膵炎で定期通院中,右鼠径部の膨隆と自発痛のため受診.CTでは頚部・腹部・鼠径部に多発する皮下・筋肉内腫瘤と,胆嚢・胆管壁肥厚,腹腔内リンパ節腫大,上行結腸壁肥厚を認めた.ERCPでは肝門部胆管・下部胆管の狭窄を認め,EUSでは胆嚢・胆管壁肥厚を認めた.肝十二指腸間膜リンパ節の超音波内視鏡下穿刺吸引法にて印環細胞癌を認め,大腿の筋肉内腫瘤の生検でも印環細胞癌を認めた.大腸内視鏡検査で上行結腸に2型腫瘍を認めたが高分化型管状腺癌であった.胆道印環細胞癌の骨格筋転移と診断し,Gemcitabine+Cisplatin+S-1併用療法を5コース施行したが奏功せず,診断より7カ月後に死亡した.病理解剖では胆嚢粘膜に高分化型~低分化型腺癌・印環細胞癌が混在しており,胆嚢筋層に印環細胞癌・低分化型腺癌が浸潤している像を認めたため,胆嚢原発の印環細胞癌の骨格筋転移と診断した.

  • 坂東 正, 田中 晴祥, 五十嵐 隆通, 渋谷 和人, 吉岡 伊作, 藤井 努, 林 伸彦, 安田 一朗
    2024 年38 巻2 号 p. 171-178
    発行日: 2024/05/31
    公開日: 2024/05/31
    ジャーナル フリー

    胆嚢管に流入する型の副肝管は胆嚢摘出時に通常の胆嚢管切離を行うと胆道損傷をきたす.今回この型の副肝管併存胆石症3例に対して,種々の工夫を行い胆嚢摘出術を安全に施行したので報告する.症例1:B6胆管が胆嚢管に流入する症例で,術前にENBDチューブを留置し術中胆道造影を行い,胆嚢管離断が不可能であることを確認し,開腹移行の上胆嚢亜全摘術を行った.症例2:後区域枝胆管が胆嚢管に合流する症例で,胆石胆嚢炎のため施行されたPTGBDチューブを用いた術中造影を施行しながら胆嚢管を切離して腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.症例3:B6胆管が胆嚢管に合流する症例で,ICG静注による術中赤外線カメラ観察で胆管走行を確認しながら胆嚢管を切離して腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.3例とも術後合併症なく退院となり,術後DIC-CTにて副肝管温存を確認した.

  • 酒井 裕司, 熊谷 純一郎, 露口 利夫
    2024 年38 巻2 号 p. 179-183
    発行日: 2024/05/31
    公開日: 2024/05/31
    ジャーナル フリー

    急性胆管炎の診断基準として本邦において「急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン」,国際版のTokyo guidelines for the management of acute cholangitis and cholecystitis(TG)が作成され多くの臨床の場で用いられているが,クリニックにおける検討は十分になされていない.我々は,クリニックにてガイドラインを用い急性胆管炎が疑われた10例を特定機能病院に搬送し,診断の整合性について検討を行った.全て急性胆管炎でありクリニックでの診断と特定機能病院との診断が一致した(10/10:100%).クリニックにおける急性胆管炎の重症度判定は,重症2例,中等症5例,軽症3例であった.重症度判定も全て特定機能病院と一致した(10/10:100%).クリニックにおいて,ガイドラインを利用した急性胆管炎における診療は,有用である可能性が示唆された.

  • 市之川 正臣, 田本 英司
    2024 年38 巻2 号 p. 184-189
    発行日: 2024/05/31
    公開日: 2024/05/31
    ジャーナル フリー

    症例は63歳の女性.乳頭部癌の診断で膵頭十二指腸切除術を施行し治癒切除した.術後9カ月,CTにて上腸間膜動脈左側に軟部組織陰影の濃度上昇を認めリンパ節再発(#14d)の診断となった.S-1開始し一時病変の縮小,腫瘍マーカーの低下を認めたもののCA19-9が再上昇したため,Gemcitabine+Cisplatinへレジメン変更した.病変は増大傾向も限局していたため放射線治療(50Gy/25Fr)を行った.その後化学療法を再開しCA19-9は正常化,術後4年9カ月撮像のCTで画像上の完全奏効が得られた.術後5年以降は無治療で経過観察を行っているが,術後5年6カ月現在再発を認めていない.胆道癌に対し放射線治療が奏効する症例もあり,転移再発が限局している症例では放射線治療も選択肢の1つとなる可能性がある.

  • 北見 智恵, 河内 保之, 五十嵐 俊彦
    2024 年38 巻2 号 p. 190-198
    発行日: 2024/05/31
    公開日: 2024/05/31
    ジャーナル フリー

    72歳女性.食欲低下,黄疸を主訴に来院した.CTで十二指腸乳頭部に20mm大の造影効果を有し,EUSで境界明瞭な低エコーとなる腫瘤を認めた.生検で小型類円形腫瘍細胞を認め,シナプトフィジン陽性,Ki67指数高値,神経内分泌癌(NEC)と診断された.幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織検査で大細胞NEC,Ki67 100%,T2N1M0と診断された.補助化学療法なしで経過観察をしていた.術後2年8カ月,多発肝転移,門脈腫瘍栓,腹膜播種が出現した.カルボプラチン+エトポシド療法を開始し,1コース後のCTで著明な腫瘍縮小を認めたが,Grade4の好中球減少,発熱性好中球減少を認め,Performance statusも低下したため,化学療法は中止,術後2年11カ月で永眠された.本疾患に対する至適治療法確立のため,さらなる症例の積み重ね,検討が必要である.

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胆道専門医講座 胆道にまつわるトラブル~予防と対策~
  • 栗田 裕介, 窪田 賢輔, 長谷川 翔, 細野 邦広, 中島 淳, 遠藤 格
    2024 年38 巻2 号 p. 205-214
    発行日: 2024/05/31
    公開日: 2024/05/31
    ジャーナル フリー

    内視鏡的胆道ドレナージとして経乳頭的な胆道ドレナージ(EBD:Endoscopic Biliary Drainage)に加えて,超音波内視鏡下胆道ドレナージ(EUS-BD:EUS guided Biliary Drainage)が専門施設を中心に施行されるようになってきた.専門施設においてEBD,EUS-BDともに良好な手技の成功率が報告されているが,ときに重篤な合併症を引き起こすため,その予防と合併症を生じた際の対応法は理解したうえでドレナージを行う.特にEUS-BDに関しては胆道内視鏡・EUSに精通した術者ないしその監督下で施行されるべきである.

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