2026 年 40 巻 1 号 p. 118-125
症例は,糖尿病性の慢性腎不全に対して血液透析導入後の69歳,男性.下腿蜂窩織炎に対してセフトリアキソン(CTRX)を投与後,心窩部痛・右季肋部痛が出現し,腹部CT撮影で新規発生の結石が原因と考えられる急性胆嚢炎の所見を認めた.PTGBDにより全身状態の安定をはかった後,待機的に腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し,急性壊疽性胆嚢炎の病理組織学的診断を得た.CTRX投与に伴い偽胆石と呼ばれる胆石様沈殿物が形成される事が知られており,その報告の多くは小児例であったが,近年,成人での報告が散見されている.CTRXに伴う偽胆石の多くは無症状であり,腹痛などの症状が出現した場合でもCTRX投与中止により早期に消失する事から保存的治療が第一選択とされる.しかし,壊疽性胆嚢炎を含む重症病態に進展するリスクを有する偽胆石症においては侵襲的治療を要する可能性を考慮し診療に当たる必要がある.