2026 年 40 巻 1 号 p. 83-92
十二指腸乳頭部癌に対する標準治療は膵頭十二指腸切除術であり,内視鏡的乳頭切除術(Endoscopic papillectomy:EP)の適応にはコンセンサスがない.今回,乳頭部管腔内に充満し,固有筋層浸潤なしと評価した非露出型主体の乳頭部癌に対し,完全生検を目的にEPを施行した.病理は共通管部(Ac)原発の乳頭部癌で,乳頭部胆管(Ab)・乳頭部膵管(Ap)・大十二指腸乳頭(Ad)に上皮内癌を認め,一部でOddi筋に浸潤し,その直下から中~低分化型腺癌に移行し,線維性間質反応に乏しく増殖し,類円形腫瘤を形成する特異な形態を呈していた.根治術として亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行したが腫瘍の遺残は認めなかった.乳頭部は小さく解剖学的に複雑であり,術前の腫瘍の進展度評価が困難な場合があることに加え,特異な腫瘍浸潤を呈する例もあり,EPは追加治療の要否判断における治療選択肢となり得る.