胆道
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胆道癌に対する5-FU,CDDP少量持続肝動注療法の有用性
福田 秀一奥田 康司木下 壽文中山 和道田中 正俊吉田 正磯本 浩晴
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1996 年 10 巻 5 号 p. 333-340

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抄録
進行胆道癌に対して動注化学療法を施行し,高い奏効率が得られたので報告する.切除不能と判断されたStageIV胆嚢癌8例,StageIVA胆管細胞癌4例を対象に肝動脈よりcisplatin(CDDP),5-fluorouraci1(5-FU)少量持続動注療法を施行した.奏効率は58.3%で,胆嚢癌ではCR:0例,PR:5例,NC:3例,PD:0例(奏効率62.5%),平均生存期間481.9日と良好であった.胆管細胞癌では,CR:0例,PR:2例,NC:1例,PD:1例(奏効率50%),平均生存期間217.5日と比較的良好であった.胆嚢癌でPR3例に対し,動注後,主腫瘍を中心とする癌減量切除術を施行し,1例は術後4年4カ月無再発生存中である.この結果は,従来切除不能と考えられた進行胆道癌に対して,化学療法有効例では切除療法との併用により長期予後が期待できる可能性を示すものであり,さらにCDDP+5-FU少量持続動注療法が,術前化学療法"Neoadluvant chemotherapy"として期待しうるものと考えられた.
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