胆道
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経皮経肝胆道内瘻術後のステント閉塞に影響する因子の検討
前谷 容井上 博和小川 聡佐藤 正弘大橋 茂樹五十嵐 良典酒井 義浩
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キーワード: 悪性胆道狭窄, 開存成績
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1996 年 10 巻 5 号 p. 341-345

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抄録
手術不能悪性胆道狭窄に対する経皮経肝胆道内瘻術(PTBE)における,チューブ・ステント(TS)とexpandable metallic stent(EMS)の治療成績を比較し,次にステント仕様のうち開存期間に影響する因子について,Coxの比例ハザードモデルで多変量解析を行った.TSとEMSのステント開存期間の比較において,両群間に差はなかった.ステント径,長さ,材質,ステント末端の位置は4因子のうち,TSではステント末端の位置が選択され,ステントの開存期間にはステント末端の位置が最も関与していることが示唆された.筆者らの検討したステント径は,平均11.2Frであり,諸家の報告からもTSで同様の径があれば,ステント末端を胆管内に留置すること,すなわち,乳頭機能の温存により開存期間の向上が得られると思われた.またEMSでは,どの因子も関連はみられず,EMSの最も多くみられた閉塞原因が,tumor ingrowthであったことを裏付ける結果となった.しかし,食物残渣による閉塞例もあり,TSだけでなくEMSにおいても,可能な限りステント末端の位置を胆管内に置き,乳頭機能の温存を図ることが重要と思われた.
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© 日本胆道学会
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