1999 年 13 巻 1 号 p. 55-59
症例は33歳,女性.上腹部痛を主訴に受診した近医にて施行された腹部USで,嚢ポリープを指摘され,精査加療目的にて当科紹介入院となった.ERCPで胆は,胆管の拡張を伴わない膵管合流型の膵・胆管合流異常が認められた.腹部US,ERCP,CT,EUSにて,多発性胆嚢ポリープと診断し,胆嚢摘出術を施行した.切除標本の肉眼所見では,全体的にcholesterosisの所見で,最大径15mmのポリープが多数認められた、病理所見では,胆嚢粘膜は肥厚し,一層の円柱上皮に覆われて乳頭状に発育し,その内部には脂質を含んだ泡沫細胞が集簇していた.以上より,胆嚢papillomatous cholesterosisと診断した.胆嚢papillomatous cholesterosisの報告例は少なく,胆管非拡張型の膵・胆管合流異常に合併したものは極めて稀であり,示唆に富む症例と考え報告した。