抄録
胆管内乳頭状腫瘍(IPNB) は胆管内で乳頭状の増殖を示す腫瘍における新しい概念である. 患着は47歳男性. 発熱・肝機能障害が幽現し, 腹部CT上右肝管から肝門部胆管にかけて胆管内に3×2cm大の隆起性病変が発見された. 末梢胆管は軽度拡張していたが黄疸は認めなかった. 肝右葉側の予定肝切除容量が75.5%であり経回腸静脈的右門脈塞栓術を施行した. 2週間後に切除予定容量は46%まで著減した. 経過中閉塞性黄疸が進行したため経皮経肝胆道ドレナージで黄疸を軽減し, 5週目に拡大肝右葉切除, 尾状葉切除および肝外胆管切除術を行った. 肉眼所見では総胆管から右肝内胆管にかけて連続性に進展し乳頭状に発育し, 病理組織所見では胆管上皮に円柱状の高分化乳頭腺癌が認められ, IPNBと診断された.pT1, pN0, P0, H1, M (-) で胆道癌取扱い規約のf Stage IVb, 総合的根治度Cであったため再発に対する厳重な経過観察が必要と考える.