抄録
症例は73歳の女性で,右季肋部痛を主訴に来院した.右季肋部に腹膜刺激症状を認めた.腹部CT検査で腫大した胆嚢内に胆砂様の病変を認めた.急性胆嚢炎の診断で,PTGBD目的で胆嚢を穿刺したが,胆砂様の部分は腫瘍であったため穿刺吸引細胞診を行い,胆嚢癌の診断を得た. 入院19日後に胆嚢を含む肝部分切除術, 胆管切除術, 横行結腸部分切除術, D2リンパ節郭清術を施行した.病理診断は未分化癌であった.術直後より呼吸不全を併発した.肺炎を合併した肺水腫と考え治療したが, 治療には反応せず, 術後34日目に死亡した. 術後, 腫瘍マーカーが急上昇したことと,死後行った肺の針生検がClass IIIbであったことから,肺転移が疑われた.