抄録
肝門部胆管癌に対する根治的切除術はリスクが高かったが, 術前減黄処置, 門脈枝塞栓術の普及,進展形式の解明などに伴い根治性,安全性が飛躍的に向上した.特に拡大半肝切除はシンプルで根治性の高い標準術式として定着してきた. 一方で肝門部胆管癌症例は約7割が黄疸肝であり拡大半肝切除,左右三区域切除など大量肝切除による術後肝不全,周術期死亡のリスクがあるが,術前減黄処置,門脈枝塞栓術を含む治療戦略により根治性,安全性を確保できる.左右肝管の交通性が失われている症例に対する減黄処置は切除術式を想定した上で施行する.半肝膵頭十二指腸切除や門脈,肝動脈合併切除再建も根治が望める症例には積極的に行うべきである.自験例では切除率74.5%,治癒切除率64%であり術後肝不全,周術期死亡は認めなかった.5年生存率は33.9%であり,リンパ節転移陽性症例など予後不良群に対しては術後化学療法などが今後の課題となる.