胆道
Online ISSN : 1883-6879
Print ISSN : 0914-0077
ISSN-L : 0914-0077
総胆管結石,膵胆管合流異常,肝内結石,胆管癌における胆汁中リゾンシチンの検討
伊藤 正樹
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 7 巻 4 号 p. 491-498

詳細
抄録

総胆管結石,膵胆管合流異常,肝内結石,胆管癌症例で,胆管胆汁中リゾレシチン(LPC)を測定し,疾患との関係を推察した.また,レシチン(PC),粘液糖蛋白,アミラーゼの検討も行った.さらに,肝内結石の成因の一端を明らかにする目的で,肝内結石の生成に関与する物質を統計学的手法であるロジスティック回帰分析を用い検討した.胆汁中LPCは、総胆管結石,膵胆管合流異常で増加し,同時に胆汁中に膵由来であるはずのアミラーゼも有意の高値を示した.したがって,総胆管結石,膵胆管合流異常におけるLPCの増加は,膵液の胆道内流入により活性化されたPLA2がPCを加水分解するためと考えられた.膜障害性の強い物質であるLPCは,膵胆管合流異常,総胆管結石の胆管炎,膵炎などの発生増悪に関連があることが示唆された.ロジスティック回帰分析では,胆汁中粘液糖蛋白が肝内結石の成因および進展に関与すると考えられた.

著者関連情報
© 日本胆道学会
前の記事 次の記事
feedback
Top