抄録
胆管内発育という特異な進展様式により閉塞性黄疸を来たした肝門部肝細胞癌の1切除例を経験した. 症例は46歳男性, 食思不振・黄疸を主訴に来院血液検査では胆道系酵素とAFPの上昇を示した. 腹部超音波検査(US), CT検査所見では肝門部に内部不均一な3cm径の腫瘍像と左葉の肝内腿管の拡張を認め, ERCP造影ではBsの完全閉塞であった. 肝門部胆管癌の診断で減黄後開腹術を施行するも, 胆管Blsrに柔らかい腫瘍を触知し, 術中細径プローブを用いたUSでは門脈・胆管壁に浸潤なく胆管内腔のみの進展であることを確認でき, 尾状葉合併肝左葉切除術を施行した. 病理組織学的診断は seudograndular patternを呈する S4 原発の肝細胞癌であった. 術後経過は良好で10カ月を経過した現在再発の徴候はない. 閉塞性黄疸を初発症状とする胆管内発育浸潤型肝細胞癌の切除例の報告は比較的少なく, 系統的な肝切除が行えれば予後の向上が期待できるものと思われた.