谷本学校 毒性質問箱
Online ISSN : 2436-5114
特集4 市販前から市販後までの医薬品リスクマネジメントシステム 第2弾-セーフティーサイエンスへのアプローチー
4. 重篤有害事象国際コンソーシアムー薬剤性の重篤有害事象に関する遺伝子的基礎を理解するための国際的取り組みにおける組織化と現状
Arthur L. Holden
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2008 年 2008 巻 11 号 p. 185-194

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抄録

要旨: The International Serious Adverse Event Consortium(SAEC)は薬剤性の重篤な有害事象(SAE)の予測に有用なDNA変異の特定と検証のために設立された。SAECは先進的なグローバル製薬企業、学術研究機関により構成される非営利の組織であり、米国食品医薬品局(FDA)から科学的かつ戦略的な助言を得ている。本稿では、SAEC設立の経緯、新規研究構想の現状、現行の研究手法と限界、さらに効率的かつ効果的なSAE研究を進めるための有望な新規ソリューションについてとりまとめた。

SAECの初期研究は、薬剤性肝障害(drug-related liver toxicity : DILI)および重篤皮疹(serious skin rash : SSR)に関連する遺伝子マーカーの特定に主眼を置いている。SAECは、参加会員の製薬企業および学術研究機関よりSAEサンプルおよびデータを収集する。特性が十分明らかな症例を対照症例と比較することにより、これらのSAE発現に関与し得る遺伝子変異を特定する。このような遺伝子変異の特定はリスクのある患者集団を特定することにもなるため、より安全な薬剤を開発する上で重要である。

SAECは、この重要な領域において研究をさらに推進するために民間研究機関および政府研究機関との国際的な連携(特に日本との)を模索中である。

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© 2008 安全性評価研究会
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