谷本学校 毒性質問箱
Online ISSN : 2436-5114
レクチャー5 スフェロイド分科会の活動成果
5-4 肝毒性評価に関する成果
楠元 久美子鰐渕 英機
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2015 年 2015 巻 17 号 p. 88-91

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抄録

 医薬品開発において、臨床試験や上市後で予期せぬ副作用や毒性発現により、開発中断・販売停止となることは依然として存在する。中でも、肝毒性の頻度は高い1)

 臨床試験前には、これまでも種々の動物を用い毒性評価が試みられてきたが、種差によりヒトにおける適切な毒性評価がなされなかった場合も確認されている2)。また、ヒト肝細胞や組織等を用いた種々のin vitro肝毒性評価の実施は増加傾向にあるが、長期間代謝能を維持した状態で培養することが難しいなどから、ヒト特有の毒性評価が不十分であった3)。 そこで、肝毒性による健康被害と経済損失を回避すべく、種々の肝毒性評価への試みが精力的に検討されている。

 近年、様々な三次元培養基材が開発され、in vitro 代謝・毒性評価での使用に多く提案されている。 我々、安全性評価研究会・スフェロイド分科会では、三次元培養法のひとつである「ヒト初代培養肝細胞スフェロイド」に着目し、本培養法の有用性の確認と評価法の標準化を進めるべく、クローズド・コンソーシアムの分科会活動として検討を行った。今回はこれまでの検討結果の紹介と、活動成果を踏まえた今後の展望について述べる。

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© 2015 安全性評価研究会
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