日本味と匂学会誌
Online ISSN : 2424-1326
Print ISSN : 1340-4806
総説 日本味と匂学会第49回大会 若手シンポジウム
羊膜類の海洋環境適応と嗅覚の進化
岸田 拓士
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2016 年 23 巻 1 号 p. 19-25

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抄録
本稿では、独立に海洋環境へと適応進化を遂げた二つの羊膜類グループ、鯨類とウミヘビ類において嗅覚 がどのように進化したのかを紹介する。現生の鯨類は二つのグループ、ヒゲクジラ類とハクジラ類とに分類 される。ハクジラ類は完全に嗅覚を失った一方で、ヒゲクジラ類は著しく退化しているものの嗅覚能力を保 持しており、空気中のニオイを知覚できる。ウミヘビ類もまた嗅覚が著しく退化しているが、彼らは鋤鼻嗅 覚によって水中のニオイを知覚できる。羊膜類の海洋環境適応進化に際して嗅覚は必然的に退化するが、そ の退化の方向性は定まっておらず、系統的な束縛と生態的な必要性の両方に依存する。
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