一般に霊長類は、栄養成分である蛋白質や糖質含有量が高く、消化阻害物質である粗繊維や縮合性タンニン含有量の低い食物を選択的に採食している。こうした食物選択は、個体の栄養状態を良好に保ち、多くの子供を残す結果に繋がると考えられることから、生存・繁殖上の機能的な、言い換えれば究極的な意味があると言える。他方、彼らがこうした選択をする直接の手がかり(至近要因)は味である。最近、盛んに行われている各呈味物質に対する閾値や嗜好性の種差を食性の違いから論じる研究は、その手がかりを明らかにするだけでなく、それらの違いに機能的な意味があることを示唆してくれる。