日本味と匂学会誌
Online ISSN : 2424-1326
Print ISSN : 1340-4806
8 巻, 1 号
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  • 原稿種別: 表紙
    2001 年 8 巻 1 号 p. Cover1-
    発行日: 2001年
    公開日: 2018/05/30
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 目次
    2001 年 8 巻 1 号 p. Toc1-
    発行日: 2001年
    公開日: 2018/05/30
    ジャーナル フリー
  • 阪上 雅史, 深澤 啓二郎
    原稿種別: 本文
    2001 年 8 巻 1 号 p. 3-10
    発行日: 2001年
    公開日: 2018/05/30
    ジャーナル 認証あり
    日本人の嗅覚障害原因の50-60%は慢性副鼻腔炎である。内視鏡下鼻副鼻腔手術により慢性炎症をとりさると、術前の重症度にかかわらず約70%認知域値が改善する。また、嗅粘膜傷害による嗅覚障害には、当科で新しく開発した「ステロイド懸濁液局所注入療法」を行い、感冒罹患後嗅覚障害には約50%認知域値が改善した。アリナミンテスト無効例にも28%認知域値、50%検地域値が改善したので、従来治療無効とされていた症例にも試みてよい方法である。
  • 中川 正, 山本 隆
    原稿種別: 本文
    2001 年 8 巻 1 号 p. 11-12
    発行日: 2001年
    公開日: 2018/05/30
    ジャーナル 認証あり
  • 白石 武昌
    原稿種別: 本文
    2001 年 8 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 2001年
    公開日: 2018/05/30
    ジャーナル 認証あり
    摂食によりob geneによって白色脂肪組織において発現・分泌されるleptinの発見は, 内分泌やエネルギー調節の生理学に大きなインパクトを与えた。その後, orexinsやメラコリン系のニューロペプタイドなどの摂食調節系への関与が最近注目されている。摂食調節に関与する視床下部外側野, 腹内側核, 室旁核, 弓状核の神経活動への影響や、これら視床下部諸核の相互関係などと、それに対するニューロペプタイドなどの役割を考えてみる。
  • 中川 尚史
    原稿種別: 本文
    2001 年 8 巻 1 号 p. 19-24
    発行日: 2001年
    公開日: 2018/05/30
    ジャーナル 認証あり
    一般に霊長類は、栄養成分である蛋白質や糖質含有量が高く、消化阻害物質である粗繊維や縮合性タンニン含有量の低い食物を選択的に採食している。こうした食物選択は、個体の栄養状態を良好に保ち、多くの子供を残す結果に繋がると考えられることから、生存・繁殖上の機能的な、言い換えれば究極的な意味があると言える。他方、彼らがこうした選択をする直接の手がかり(至近要因)は味である。最近、盛んに行われている各呈味物質に対する閾値や嗜好性の種差を食性の違いから論じる研究は、その手がかりを明らかにするだけでなく、それらの違いに機能的な意味があることを示唆してくれる。
  • 駒井 三千夫, 古川 勇次
    原稿種別: 本文
    2001 年 8 巻 1 号 p. 25-32
    発行日: 2001年
    公開日: 2018/05/30
    ジャーナル 認証あり
    からだの栄養・生理状態に変化が生ずると、味の嗜好性が変わる。これまでの我々の研究では、糖尿病の病態を改善させる効果のあるビオチンの嗜好率が糖尿病ラットで上昇すること、低タンパク質食を与えたラットではアルコール嗜好率の低下がみられること、そして、肝臓のグリコーゲンが激減するような激しい運動(強制水泳)を行った後では酸味物質の嗜好率が上昇すること、等を観察した。こうしたそれぞれの味の選択行動は、からだの栄養・代謝状態に有益となる適応的行動であることを証明した研究を以下に紹介する。
  • 堀尾 強
    原稿種別: 本文
    2001 年 8 巻 1 号 p. 33-38
    発行日: 2001年
    公開日: 2018/05/30
    ジャーナル 認証あり
    食品の性状には物理的属性、化学的属性がある。われわれは、普段これら属性を総合的に受容して食品に対する嗜好が生じている。今回、属性をできるだけ個別的に分け、その特性と嗜好性との関係について、筆者の知見を含めて考察する。さらに、食品の性状が嗜好性に関連する要因には、年齢、個人的経験、食習慣、食文化など様々なものがあり、食べる側の食べ方や生理的要因も関与することが示唆された。
  • 杉本 久美子, 硲 哲崇
    原稿種別: 本文
    2001 年 8 巻 1 号 p. 39-40
    発行日: 2001年
    公開日: 2018/05/30
    ジャーナル 認証あり
  • 新島 旭
    原稿種別: 本文
    2001 年 8 巻 1 号 p. 41-54
    発行日: 2001年
    公開日: 2018/05/30
    ジャーナル 認証あり
    1994年に発見、報告されたレプチンは白色脂肪細胞で生産され放出されるホルモンで食欲を抑制し、消費エネルギーを高めて肥満を防止する物質であることが明らかとなった。その後の研究で視床下部にレプチンレセプターが存在することが証明され、レプチンの食欲抑制効果、自律神経出力への効果は視床下部を介して発現することが示唆された。さらに、レプチンの静脈内投与により迷走神経活動の抑制、交感神経活動、とくに白色脂肪枝、褐色脂肪枝での活動促進が観察され、脂肪分解、熱産生の促進が示唆された。レプチンは自律神経活動を調節することにより異化作用の促進、同化作用の抑制を起こし、体脂肪量の調節に役割を演じている。本稿では上記について概説し、レプチンの作用経路についても考察した。
  • 杉本 久美子, 二ノ宮 裕三
    原稿種別: 本文
    2001 年 8 巻 1 号 p. 55-62
    発行日: 2001年
    公開日: 2018/05/30
    ジャーナル 認証あり
    レプチンは、脂肪組織で産生され、強力な摂食抑制作用とエネルギー消費促進作用を発揮する。レプチン受容体はab遺伝子にコードされており、この遺伝子に変異を持つab/dbマウスはレプチン受容体の細胞内ドメインを欠くために、正常な細胞内情報伝達が出来ず、糖尿病、肥満を発症する。ab/dbマウスの味神経は、正常非肥満マウスに比べて、甘味特異的により高い応答性を示すが、この性質がレプチン受容体の異常と関連するか否かを検討した。正常マウスでは、レプチンが味細胞に作用すると、K^+チャネルの活性化を介して膜が過分極し、甘味刺激によって生じるK^+チャネルの閉口による脱分極と拮抗する。その結果、甘味選択的な味神経応答の抑制が惹起されることが判明した。一方、ab/dbマウスでは、レプチン受容体の異常により、この抑制性調節が機能しないため、甘味刺激に対し高感受性を示すと考えられる。
  • 石塚(森本) 智子, 大和谷 厚
    原稿種別: 本文
    2001 年 8 巻 1 号 p. 63-70
    発行日: 2001年
    公開日: 2018/05/30
    ジャーナル 認証あり
    ヒスタミンは中枢神経系で神経伝達物質として機能する生体アミンであり、ヒスタミン神経系はこれまでに睡眠覚醒や摂食行動をはじめとする種々の生理機能に関与していることが示されている。摂食行動については、ヒスタミンは脳内のH_1受容体を介して摂食抑制を起こすと考えられているが、詳細な機構については未だ不明である。レプチンは白色脂肪細胞から放出される食欲制御物質であり、視床下部に存在するレプチン受容体を介して摂食抑制とエネルギー消費の増大を引き起こすことが知られている。我々はこれまでに食欲調節において脳内ヒテタミン神経系がレプチンの標的となっている可能性について検討を行い、ヒスタミン合成阻害薬の前投与によりレプチンの摂食抑制作用が減弱すること、さらにヒスタミンH_1受容体ノックアウトマウスではレプチンの作用が消失していることを示した。また、レプチンの腹腔内投与によりヒスタミン遊離が速やかに上昇することからレプチンが脳内ヒスタミン神経系の活性化を介して摂食抑制を起こすと考えられた。このヒスタミン神経系の活性化は味覚末梢神経である鼓索神経の切断によってほぼ完全に消失することから、レプチンによるヒスタミン神経系の活性化には鼓索神経が何らかの役割を果たしているものと推測される。
  • 外崎 肇一
    原稿種別: 本文
    2001 年 8 巻 1 号 p. 71-78
    発行日: 2001年
    公開日: 2018/05/30
    ジャーナル 認証あり
    ニオイの受容器は鼻腔内嗅粘膜にある嗅細胞で、この細胞は一次感覚神経としてその樹状突起を粘膜内に出しその先端に数本の繊毛を持っている。一方、軸索は無髄の神経でシナプスを介すること無く嗅球の糸球体までのび、そこで僧帽細胞の樹状突起とシナプスを複雑に構成する。僧帽細胞の軸索は嗅索として視床を経由せずに大脳皮質嗅覚野へ行く。この嗅覚系の構成は多くの動物でほとんど同じである。このような単純な構造で何十万種類もあると考えられているニオイを受容して識別することになる。現在では単一嗅細胞を分離し、その生理学的性質も研究されているが、微小電極法による細胞内記録や細胞外記録による単一ユニットインパルスおよび遅電位(EOG : Electroolfactogram)の記録も行われてきた。一方、嗅神経小束(olfactory nerve twig)による嗅細胞群のニオイ応答記録法もある。この方法は1950年代後半にアメリカ合衆国フロリダ州立大学のDr.Don Tuckerによって開発され、比較的安定して嗅細胞群のニオイ応答を調べることができる。しかし、彼は趣味の狩猟に行った1979年1月20日より行方不明(1982年2月1日に遺体が見つかる)となり、それ以後この方法による研究は筆者の研究報告以外無い。ここでは嗅神経小束法とこの方法による各種動物のニオイ応答の実際について述べる。
  • 奥谷 文乃
    原稿種別: 本文
    2001 年 8 巻 1 号 p. 79-86
    発行日: 2001年
    公開日: 2018/05/30
    ジャーナル 認証あり
    未開瞼の幼若ラットを、母性行動から受ける体性感覚刺激の対提示により母のにおいを学習する古典的条件づけモデルとして用いている。その嗅球内メカニズムを明らかにするための行動薬理学的手法について述べた。生後10日目に注入カニューレ埋設、11日目に薬物を注入下でにおいと電撃の対提示、12日目ににおいの嗜好性テストを行っている。シナプス伝達を変化させる薬物の注入により、においの学習の成立には僧帽細胞の脱抑制が不可欠であることが示唆された。
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