抄録
我々はこれまでにシスプラチン(以下、CDDP)投 与後の薬剤性腎損傷に酸化ストレスによるDNA損 傷が関わり、タウリンは抗酸化作用により薬剤性腎 損傷を軽減することを見出してきた。本実験は薬剤 性腎損傷モデルラットを用いて CDDP のニトロ化 ストレスによる腎損傷メカニズムとタウリンの保 護作用を検討した。
本実験により薬剤性腎損傷にニトロ化ストレス による DNA 損傷が関わり、タウリンはiNOSの発 現を抑制することによりニトロ化DNA損傷を軽減 することを見出した。これにより、タウリンの薬剤 性腎損傷保護作用の機序を確認した。
CDDP は悪性腫瘍に対して一般的に使用される 薬剤であるが副作用が強く、その予防法は大量輸液 療法のみであった。我々が見出したこれらの知見か らタウリンが CDDP の副作用予防に有用である可 能性が示唆された。